高垣 順一郎

 高垣順一郎先生は今京都の立命館大学で教授になっている。30年以上前に関西地区の一少年鑑別所の職員だった頃出された論文で、「9歳の節を越えていない少年達が、少年院に入ってくる」ことを指摘された。自己のそれまでの人生を物語にして総括できないこと、自己の犯行を、「気がついたら」とか「何となく」とか、自らの意志と関わりのない人ごとのような偶然の出来事として受け止めようとすること、自発的な目的設定・目的に合わせた手段選択を出来ない。計画性・自己感情の関与・結果に対する責任意識が曖昧など。少年犯罪を減らすために明快に課題設定をしていた。私は、この論文によって9歳の壁・節の存在を知った。これが後に、社会館保育園の目標:誰もが「9歳までに自分は生まれてきてよかったのだと思えるように」につながるのだ。